2)雑誌v.s.広告
magabon:あと、『Pen』に始まり、家電とか車とか。雑誌の定番ですけれど。年末なのでこの特集も多いんですよ。
箭内:ボーナスとか?
幅:昔に比べて家電て買わなくなっちゃったんだよな。
magabon:車特集はどうですか?
箭内:そんなに興味ないっすね。下手です、運転が。あとスピードも出したことないです。雑誌のタイアップって、広告より効いている感じがしますよね。広告より広告になるっていうか。あんまりそういうことを言うと、純広がなくなっちゃいますけど。こうやって見ると、見開きに車のただの広告があるより、雑誌の記事になって見えていたほうが、ずっといい車に見える。情報として、僕らに一回噛み砕いてくれるから。となると僕のやっている広告ってなんだろう、とか思うときがありますね。必要ないかも、という気が・・・
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幅:下手なタイアップもありますよね。物を買わそうとしている感じがするときとか。そこが分からないくらいの精度があることが大切だとは思いますよね。
箭内:うんうん。でも逆に広告なのか、記事なのか分からないっていうのも良いと思うんですけど、タイアップっぽく見えすぎないっていうのもコワイ。ものすごい情報操作されているみたいな気がする。
magabon:そう考えると『風とロック』って僕すごいなって思うんですよ。広告を入れずに成り立たせるのはすごい大変だって分かるので・・・どなたか敏腕がいらっしゃるんですか?
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箭内:いないっすよ。成り立ってないってことなんですよ、これ。全体では成り立ってますよ。銀行からお金かりて、CMの仕事で稼いだお金がこっちへきて、とか。単体じゃ成り立ってないんで、成り立っていないものが出続けるのは珍しいなって思って僕も続けてるんですよ。普通何ヶ月かで出なくなるじゃないですか。あとは、自分がお金だして、編集長で、インタビュアーでデザインもやって、最近カメラマンもやっていて。そうすると誰にもプレゼンしなくていいんですよ。いい写真撮れたから、今月は20P増やすか! とかね。
magabon:馬鹿みたいに時間がかかりますよね?
箭内:かかりますね。でもどこにも頼んでないんですよ。僕がやってるんで。CMのクライアントさんからはご指摘を受けることもありまして、これ作ってうちの仕事いつやってんの? とかね。危ないんですよ(笑)。
magabon:バレはじめたんですね。
箭内:とはいえ、今は年末進行ですからね。年末進行だわ、2月は28日までだわって、この時期12、1、2月って死にそうですよね。
magabon:そうですよね。箭内さんにとって、これを出し続けるっていう意味はどこにあるんですか?
箭内:意味は、「馬鹿じゃねえの」っていうわれる瞬間のうれしさ。「意味ってあるんですか?」って言われるのがすごく嬉しいんですよ。そういうことでは意味はないですけどね。
magabon:やめたいとは?
箭内:今のところ、ないですね。
幅:書籍は1回出したら終わりですけど、継続してどんどん出していって、『風とロック』の中で成り立っているからいいと思うんですけど。やっぱり出版って今の状況は厳しいですからね。昔、貴族が絵を趣味で描かせてたじゃないですけれど。これからの雑誌って、あくまでも別の主体があって、というほうが多くなりそうですけれど。別の事業主がいて、みたいなね。
箭内:その方が自由にやれますよね。
幅:『風とロック』もめちゃめちゃ優雅な台割ですもんね。逆に気持ちいいですよね、この優雅さが。




