増殖するWebメディア
2007年06月12日■magabonが注目する「読み応えのある」e-マガジン10選!
前回も述べたが、デジタル分野の普及は、情報の発信者である制作側と受け手である読者との関係をイイ意味で曖昧にした。
特殊な技術であったはずの印刷や編集の敷居が下げられ、誰もが製作者として参加できるフィールドが確立されていた。専門家のものだった技術が解放され、ある一定以上のクオリティを制作することが可能になった。デザインが苦手だった表現者もデジタルツールの助けによって、ある程度のクオリティを手に入れることができるようになった。
さらにその利便性は増し、自分が思うことを文章にし、書きたいものを書き、世の中に伝えることが容易になった。WEBの世界ではさらに顕著で、印刷と言う紙媒体に欠かせないプロセスを飛び越えて、多くの人へ、情報を発信することがいとも簡単になったのだ。
もちろん構造がしっかりして、分かりやすく、安心して記事が読めるということが、編集された雑誌(e-マガジン)であることは言うまでもない。
システム的にはブログというCGMの登場によって、簡単にWEBの更新が出来るようになり、デザインだけではなく、構造上の編集作業を担ってくれる。
RSSなど新しく更新すればその状況が自動的に感知してくるものなども登場し、読まれると言う場は整えられつつある。
しかし、我々にもたらした福音は便利になった分、内容で勝負と言うことになる。WEBの世界にも雑誌のような骨のあるサイトも数多く存在する。ジャンルを問わず制作側の意図が伝わる秀逸なe-マガジンがおのずと注目されることになる。先ずは、WEBで読むことが出来る注目のe-マガジンを紹介しよう。
engadgetは、主にガジェットや新しいテクノロジーの紹介をサイト。2004年、1個人ではじめられたこのサイトは、AOLに買収され、いまや英語、日本語、スペイン語、中国語の4ヶ国語で展開されている。
ただの情報にとどまらずその即時性や先見性は、リスペクトすべき存在。デベロッパーなどの多くのIT関係者が購読している。
同様に日本では、gigazineがこのポジションに位置する。ガジェットギークが嗜好するトイやジャンクフードまでカバーする。元IT系編集者が2000年に始めたニュースサイトが始まりで、現在はブログ形式のe-マガジンとなっている。個人が始めた大きな力を持ち、世の中に影響していくということはメディアとして健全なことである。
Whitesoapは、アメリカの複数のブロガーによるニュース評価、e-マガジン。ニュース系サイトにしてはデザインも凝ったつくりになっている。
PIXELSURGEONは、イギリスでJason ArberとRichard Mayが2001年にカッコイイものを作ろうとはじめたe-マガジン。充実したコンテンツは商業誌に引けを取らないクオリティである。
個人と言えば、Tigerlilylandも、女性編集者・野中桃が個人で始めたサブカルチャーを扱うファンジンが発端。場所をWEBに変えつつも、今注目されつつあるZINEを取り扱う。その造詣と考察は深く、個人が大きい存在だと感じさせてくれるよい例である。
JunkMediaもアメリカのLaura Sylvesterという女性一人(現在は複数)で運営を始めた音楽を扱うe-マガジンだ。
Defunktionは、2003年にスタートした。元々フランスをベースに、アートイベントの情報を展開していたウェブサイトがe-マガジン化したもの。
Mondomixは、1998年にフランスでローンチされた老舗音楽のe-マガジン。10万の定期購読者を抱えるフリーペーパーも発行している。音楽配信サービスも行う。メディアミックスを上手に活用している例だといえる。
Fecal Face.comは、1998年に創刊されたArtZine。2000年にWEBに拠点を移したNYC、SF,Lanのアートを中心にカルチャーを扱うe-マガジン。商業的にも成功している好例。
海外には、このように既にビジネスも成立しているe-マガジンも多い。
日本ではまだ少ないが、このPingMagは、良い例だろう。デザインやアートなどを扱うe-マガジンで、日本語版と英語版が同時にアップされるため、世界中のジャパニーズカルチャー・マニアから注目を集めている。ウェブ制作会社イメージソースの一部門だったが、現在は独立し、独自の編集部が運営している。日々アップされる記ことが読み応えのあるものが多く、WEBでは鬼門であった長い文章を読むことを容易にしたことは評価すべき部分である。
次回は、デザイン系ポータルを中心に見てみよう。
この項つづく
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