007 西田敏行・是枝裕和・渡辺俊美・箭内道彦

No.007 西田敏行・是枝裕和・渡辺俊美・箭内道彦

映画「あの日~福島は生きている~」トークショー&上映会&ミニライブ(1)

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LIVE福島ドキュメンタリー映画「あの日~福島は生きている~」
の上映が終わって

箭:こんにちは!

会場:(拍手)

箭:今日はみなさん、ようこそおいで下さいました。風とロックの箭内道彦と申します。よろしくお願いします。

会場:(拍手)

箭:これからの時間はトークショーとミニライブになっていまして、17時ぐらいまで、ここ郡山女子大学建学記念講堂でみなさんと過ごさせていただきたいと思います。ではさっそく、ひとりひとり呼び込もうと思います。先ほどの映画でも猪苗代湖ズの一員として歌っていました、そうですね、今、「風とロック LIVE福島 CARAVAN日本」と題して全国を旅をしています。そのすべてを一緒に回ってくれている、大切な仲間、福島県双葉郡川内村生まれ、富岡町育ち、渡辺俊美!

会場:(拍手)

(渡辺俊美さん登場)

箭:今日はライブとトークショーを掛け合わせて、しゃべったり歌ったり、歌ったりしゃべったり、みたいなかたちでやりたいなと。

渡:はい、よろしくお願いします。

会場:(拍手)

箭:どうですか。お父さんお母さんはお元気ですか?

渡:昨日ね、あの、姉からメールがあって、お母さんがちょっと入院しちゃったんですけど。

箭:えっ。

渡:まぁもう、2年数ヶ月経って、いろんな緊張みたいなものがちょっとほどけてきて、体調を崩しちゃったのかも知れませんね。でも電話でも話して、引き続き。大丈夫です。

箭:今日はよろしくお願いします。

渡:よろしくお願いします。

会場:(拍手)

箭:そして、えー、先ほどの映画の総合監修もしてくださいました、カンヌのね、国際映画祭で、今年、審査員賞を受賞した、『そして父になる』という映画の監督でもあります、カンヌを獲った後だったらたぶんここに来てくれてないよね、その前にブッキングしてたんで(笑)。

会場:(笑)

箭:安い時に株買っておいて、高い時に売り抜けるっていうパターンで来てくれました(笑)、是枝裕和さん!

会場:(拍手)

(是枝裕和さん登場)

箭:カンヌ獲って変わりましたか?みんな天狗になってる、なんないとか言ってますけど(笑)。それはそれで。

渡:箭内さんだけですよ、そういうこと言うのは(笑)。

箭:今日レッドカーペット敷かなかったら、ここに出ないぞみたいなっていう。

会場:(笑)

是:そんなことありません(笑)。

箭:今日よろしくお願いします。

是:はい。

箭:福島に来るのは久しぶりですか?

是:えー、そうですね、久しぶりです。はい。

箭:よろしくお願いします。

是:はい。

会場:(拍手)

箭:そして、我々ね、ありがたいですね、同級生もさっき来てて、小学校、中学校のね。あ、ほかにも来てるの?あ、女性の方も?あ、同級生ですか?うわー、すげー。

会場:(笑)

箭:どーりで(笑)。どーりで、じゃないか。

渡:すげー、じゃないです(笑)。

箭:いやいや。そしてね、今、「八重の桜」ではおなじみ、西郷頼母。またすばらしい演技をされています。そして是枝さんとは去年「ゴーイング マイホーム」というドラマで。

是:ご一緒しました。とても楽しかった。

箭:あ、そっか。是枝さんちょっと呼んでみてください。「としゆきー」とか、そんな感じで(笑)。

是:えー、西田敏行さんです。

西:はーい!

会場:(大きな拍手)

(西田敏行さん登場)

箭:いやいやいや。

西:こんにちは。

会場:(拍手)

箭:よろしくお願いします。

西:お久しぶりだね。

箭:いいですね。短パンもご一緒で。

西:だいたい、変なのが、こういうのがラクなので。そのままで、今日はもう、ストレートで私も歌を歌えればと思って、こんな格好で来ました、すみません。

会場:(拍手)

箭:西田さん、あそこらへん、そこにいらっしゃるお姉さんが同級生だそうですよ。

お客さん:西田さん!

西:おぉ!柳沼?二中の?みちよちゃん?あらぁ〜!

会場:(笑)

西:久しぶりだないね。元気だった?ああそう。まあよく見に来ました。

箭:はい、じゃあお掛けになってください。

西:はい(笑)。そうなんだ。

箭:西田さん、これ何入ってるんですか?かばんに。

西:いやぁ、あの、財布だとか、携帯だとか、そういうの全部。

箭:はい。エノキタケのストラップが素敵ですね。

会場:(笑)

箭:あのー、西田さんにいろいろ聞きたいことたくさんあるんですけど、僕、今「八重の桜」を毎週毎週観ていて、あの頃の会津だったり福島と、今の福島がいろいろと重なるところを、何か感じてしまうみたいな。

西:うん、間違いないね。会津戦争はまあ、会津最後の内戦の、抗いみたいなものだったんですけど、どんどん、どんどん、明治維新に向かってこう福島の人が亡くなっていくと、抗っていることに、そういったものをすごく抑えているように感じる。そしてその震災後の福島の人となんか重なって、とくに自分は親衛隊だとか白虎隊とかの子供達がね、戦いに駆り出されて、随分と大切な命を落としてしまうということと、妙に、妙に、悩ましいものに思える。二重にこう、重ねてしまっているのか分からないけど、それまでのふるさとというものが本当に愛おしくてね。

箭:この前、山形県山形市出身の渡辺えりさんと久しぶりにしゃべって、えりさんが東北の話をしていて、東北の人って、無口で我慢強くて、それだけじゃなくって、実はおもしろいんだよって。

西:はい、はい。

箭:明るいんだよっていう話をしていて。自虐もあるけど、楽しくいろんなことを乗り越えていくんだなんて話も印象的でしたね。そういう中で。おもしろい人って大阪の人っていうイメージだけど、西田敏行さんだって、こう、おもしろいじゃないですか。

西:(笑)

箭:西田さんは是枝さんとずっと「ゴーイング マイホーム」というドラマで、是枝監督のドラマツルギーに敬意を表しますって、僕に話してくれてたんですけど、どうですか是枝さん、是枝さんへの、何か。

西:いやー、もう本当に、こないだのあのカンヌのクリエイティブも含めて、是枝さんの目指しているもの、映画というか、世界観ですね。本当に役者として現場にいると、ものすごく真摯にですね、素晴らしいドラマツルギーを持ち合わせているなあと思って、申し上げたんだけど、まあ本当に、最後の、小津の次は是枝監督と言っているくらい、これからの日本の映画界、あるいはドラマ界を牽引して行ってくれると。

会場:(拍手)

西:僕の見る限り、東北出身だからかも知れないけど、悔しいですよ。福山さんばっかり使わないで(笑)。

会場:(笑)

箭:是枝さん、是枝さんにもいろいろ聞きたいんですけど、

是:はい。

箭:一つ、ドキュメンタリー、今日観ていただいた、ああいう是枝さんと、映画の、かたやドラマツルギーな是枝さんて、たぶん相似していると思うんですね、カンヌの『そして父になる』の、子供が出るシーンでは代役がなかったとか、なんかそこら辺の話がちょっと聞きたいなと思うんですけど。

是:はい。

箭:ドキュメンタリーとドラマっていうものの是枝さんの解釈、分かりやすくお願いします(笑)。

会場:(笑)

是:あのー、自分はドキュメンタリーを撮る時はドラマのように撮るようにしていて、ドラマを撮る時はドキュメンタリーを撮るようにしています。

一同:いやあー。

箭:メモって、メモって、みなさん。

西:これですよ。

箭:これですね。

西:演じてるときの僕自身、置かれる前に、そこにいてくれよっていう感じの所で、もうぐっと(カメラが)回るんですね。これがすごい。特に子役の子供たちに対しても絶妙な、何といいますかね、目線の違いっていうのがあって。

箭:うん。

西:だからよく、時代劇なんか観てると、子供達が「わーい」って。

会場:(笑)

箭:本当だ、そうですね。

西:「わーい」って言いながら走る子供達が。「わーい」って自分のボキャブラリーの中にあります?

箭:ないですね(笑)。

渡:ないです。

西:そういうのを平気でやらせる監督もいるわけですよ、世の中にはね。まあそれも大事なのかも知れないけど(笑)。そういうことも、「わーい」って子供が走って、はい、わーい、わーいって楽しそうに「ハイ、OK!」ってやる監督もいる中で、まあもう是枝監督は全然違う目線ですね。違う所にいますね。

箭:僕も是枝さんと出会ったのはもう10年以上前なんですけど、やっぱり、その時一番驚いたのが、なんか、それはドキュメンタリーな手法というか、ドキュメンタリーなCMなんですよね。音楽のオーディションを受けに来た人達に、インタビューをしてるんだけど、是枝さんはインタビューをして、相手が答えられなかったり、困っていたり悩んでいたりっていう時に、温かく冷たくっていうか、放っとくんですよね。

西:ああ、うん。

箭:やっぱり他のインタビュアーの人って、何か引き出そうとして、誘導していくんだけど、是枝さんって絶対誘導しなかったんですよ。それが結局、悩んだり、言葉が出なかったり、そのこと自体が答えなんだっていう。

西:そうねー。

箭:あの時衝撃的でしたね、教えられて。

西:定型を求めないというか。

箭:そうですね。

西:定まったものを、こう、あまり信用していないというか。

箭:ある意味、ワルですよね。

西:ワルですよ。だって、自分の破綻した所が一番良かったですね、みたいなことになる場合もあるわけですから。

箭:そうですねー。

一同:…。

箭:すみません(笑)、僕と西田さんが是枝を語るの会みたいになっちゃってましたね。

西:俊美さん。

箭:俊美さん。

西:何かしゃべれ(笑)。

渡:えっ、あ、はい。僕は普通に、普通の、一般の方みたいに、普通にお客さんみたいな気分で見てました。

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