007 西田敏行・是枝裕和・渡辺俊美・箭内道彦

No.007 西田敏行・是枝裕和・渡辺俊美・箭内道彦

映画「あの日~福島は生きている~」トークショー&上映会&ミニライブ (4)

007_04.jpg箭:だから僕は、「何、お前、大人しく広告作っときゃいいんだよ」とか「髪の毛は黒く染めておけ」とか何か言われるんだけど、何かやっちゃった後、やった自分に気がつき続けているというか。

是:いやあ、すごいなぁ。

箭:そうなんですよね。そんな中ね、先ほど最初に今全国を旅しているって言って、沖縄だったり、長崎、広島、神戸ってずっと回っているんですけど、そういう中で、ここにいる人達とはまた立場の違う、状況の違う、また別な悩みを抱えている人、自主避難をしている方。自主避難に対するいろんな、また福島県に住んでいる人にもいろんな思いがあると思うんですよね。「早く帰って来い」とか「二度と帰って来るな」とか、いろんな思いがある。まあそこも認め合っていきたいなという思いも込めて、その人、郡山から沖縄に避難した人と話して、で、やっぱり「自分が選んだ答えが正しいかどうか分からなくて苦しくなる」って仰ってて。結局、正しいっていうのは、「避難してよかったね、いたら大変だったもんね」っていう。でも大変じゃないじゃないですか、今。でも大変な結末を祈るわけでもなくね、もちろん。だからその人にとってはすごく、ずっとその答えが間違ってるんじゃないかって思い続けているんですっていう話を聞いた時に、あ、そのことを歌にしてたくさんの人に伝えなきゃって思って、僕はその人の話をもとに詞を書いて、で、すぐ俊美さんが曲をつけてくれたんですけど。でもそれは、自主避難者の歌じゃなくて、すべての人の、“日本が被災地だ”っていうことにも繋がるんですけど、答えは全部正解だし、全部不正解だし、それが正しいっていうことは相手を否定することで証明するものではないっていうかね。なんかそんな歌ができて、僕も、「いやいや、正解・不正解ってそれやるのは国だろう」って、僕自体が怒られたりすることもあるんだけど、その「自己責任みたいに言うなよ」って。でもそんな中で作った歌があって、で、その俊美さんが曲をつけてくれたものを聞いた時に、僕はなぜか俊美さんの声と西田さんの声が重なって聞こえてきたんですよ、その時に。だからいつか機会があったら、西田さんにその歌を歌ってもらえないかな、特別に。…と思ったので、今日歌ってもらいます。

会場:(拍手)

箭:ちょっと譜面台持ってきますんで、ちょっと俊美さん、お話を。

渡:はい。えー、この歌詞を箭内さんからもらった時にですね、結構すぐ出来たんですよ。何でかっていうと、隣で、隣の部屋で息子が曲を作ってたんですね。音楽が好きで。そしたら、息子が頑張っている姿を見て、俺も頑張ろうって思って。そしたら、コタツで作ってたんですけど、息子がやってきて「こっちのほうがいいんじゃない」って、なんか、それで二人で作ったメロディなんですよ。避難した人達の思いもありますが、僕の両親も茨城におりまして、あとは僕の友達、後輩も福島県内にもいますし、いろんな所にいます。ましてやこの曲、歌詞っていうのが、そういう、震災後じゃなくて震災前にもあってよかったような、素敵な、各自、その思いが、照らし合わせられるんではないかなと思います。そんな「こたえよ」歌います。

是:箭内さん。僕、この2人の間で聴くよりは、そこ(客席)で聴いてる。

西:しっかり歌えるかどうかわからないですけど。

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