No.002 松田晋二・菅波栄純(THE BACK HORN)
(2)福島県に一番ぴったりな、ザ・バックホーンの曲は?
箭内: じゃあ福島県に一番ぴったりなザ・バックホーンの曲。
松田: はい、ということでそんな福島県に一番ぴったりなザ・バックホーンの一曲をあえて数ある曲の中から選んでいこうということなんですけど。どうですか?ま。言ったらもうほとんどそれに近い、みたいなとこありますよね、菅波栄純が作った歌詞とかに関してはなおさら。
菅波: そこはもうね。うん。
松田: どうなんですか。
箭内: さっきさ。いきなり今、午前中ですけど、月曜日の朝十時に集合したんだけど。オリジン弁当買ってきて、竜田揚げ。それを五口ぐらいで飲み込んでたよな。(笑)
菅波: 噛むのがなんか・・・親にも怒られてたんですけどね、噛まないって。
松田: なんでなんすかね、それね。早く食いたい?
菅波: もあるし。しゃくれてるじゃないですか。ちょっとしゃくれて噛み合せが悪い分、なんかこう噛みたくないんですよね、あごが痛くなる。
松田: あごが痛くなるんだ?(笑)
菅波: あごが痛くなるから。噛みすぎると。
箭内: ガムとかも噛まないの?
菅波: ガムとかも噛みますけど、舐めるほうが…
一同: (大笑)
菅波: 舐める時間のほうが長いですよね。
松田: 子どもの離乳食じゃないんだから。(笑)
箭内: ほんとに?(笑) でも普通さ、あごを運動させて物を噛むと、消化にもいいけど脳が発達するとか。
松田: いいすよね。
箭内: そっちのほうはどうなの? 脳はどんな風に発達させてんの?
菅波: 発達。(笑) しなかったんですよね、あんまりね。(笑)
松田: 確かにメンバー中でも一番発達してない感じがあるかもしれないですね。逆に違うほうの噛むほうじゃないほうの脳が発達してるっていうのがあるかもしれないね。
菅波: そうだね。センス的な部分が…。
箭内: あ、そうか。噛んで発達するのは左脳なのかもね。その部分はどんどん。そのぶん、栄純の頭の中は全部右脳なのかもな。
松田: 結構そういう噂もありますけどね。菅波栄純右脳説。
菅波: 右脳説?
松田: 菅波、右脳なんじゃないかっていう。
菅波: そうかな?
箭内: ごめんごめん。あれ何でこんな話ずれたんだ? 俺が弁当の話、したからだ。
松田: そうです。
箭内: で、一番ぴったりな曲。
松田: で、ま、こないだ、去年出たべストアルバムの中に「夏草の揺れる丘」っていう曲が入っているんですけど。結構、栄純が歌詞を書いて、ま、ちょっとそのゆかりの地名なんかも入ってると。それが一番ちょっとこう福島っぽいかなってとこで。
菅波: なるほどね。
松田: うん? なんだおめぇ、なんだおめぇ。
菅波: なんか、直(ちょく)すぎんなと思って。
箭内: 直すぎる? じゃそれちょっとやめっか?
松田: じゃやめましょう。
菅波: 逆にだから将司とかが茨城だったりするんだけど。将司とかが書いた曲とかでも選んでいいのかなって思い始めた。
松田: それはなんで?
箭内: ぴったりだと思って?
菅波: こっちがぴったりだと思えばいいじゃん。
松田: どういうぴったりか、じゃあ言ってもらえば…。
箭内: (笑)なんか松田くんイライラしてねえか? 今なんかすごい鬼ごっこ始まるような感じだったぞ。
松田: 言ってもらえれば。どのへんかを言ってもらえれば、感じ的に。
菅波: 「ゆりかご」っていう曲あるじゃん。
松田: ああ。
菅波: あれとか。
松田: なるほどね。
一同: (笑)
箭内: それ、「なるほど」って言うのは、人が何かを却下するときに言う言葉ですよね。
松田: イメージが・・・「8月の秘密」は、どのへんがこう福島っぽい?
菅波: ああ「8月の秘密」…。あの須賀川に、どこでもあっけど、防空壕があって、それがなんか残ってたんだよね。俺らが小学生の頃にも埋められずに。で、そこに入って遊んでたりしてた思い出があって。
松田: ああ、なるほど…。それ結構、福島っぽいですよね、そうなるとね。
菅波: ぽい。ま俺の中ではぽいですけどね。
箭内: それいってみる? じゃあ。
松田: いってみますかじゃあ。それで話をしてまとまりましたけど。
箭内: 「ゆりかご」は却下されたんで…。
松田: 「ゆりかご」と「夏草」は却下されて。
箭内: 決まりました。
松田: はい。ということでザ・バックホーンの中からあえて福島県に一番ぴったりなザ・バックホーンの中からあえて曲を選ぶということで決まりました。それでは聴いてください。ザ・バックホーンで「8月の秘密」。
箭内: ・・・は、ないということでね。
松田: はい。
菅波: そうですね。
箭内: 夏草持って来てたんだけどね。(ディレクターがライブラリーから「夏草の揺れる丘」の入ったCDを急いで持って来た。)
菅波: すみません。
松田: 聴いてみよっか?
松田: これにがつがつ。
箭内: じゃやりますか。あもう取りに行ってくれたんだね。だから福島民報にはやっぱ福島に対する僕らの思いとか好きなとことか嫌いなとことか、なんかねそういう話をちょっとしとくと記事になりやすい。今防空壕の話とかはいい感じで入ってくると思うから。
菅波: 意外と良かった?
箭内: うん、意外と良かった。
菅波: 松田くん、にこりともしない。(笑)
松田: でもありましたよ。ウチのほうにも防空壕跡。
箭内: 防空壕跡。で弁当の話とかは福島民報には載せられないから。そういう感じで。載んない載んない。
松田: オリジン弁当の告知か。
菅波: はないですよね。
箭内: そっから喜多方ラーメンの話とかそういうところにいけばね。
菅波: 工夫は?
箭内: 「工夫は。」最高だね。この男ホントおもしろい…。
菅波: 話、広げていって…。
箭内: そこは広げる。そこは一応載ってるのは告知だけど。そっからちょっと新聞っぽい。ま、だからこの三枚目だよね。上京した時の気持ちとか、今、福島が二人にどう見えてんのかとか。
松田: あれ誰か、なんか県民ショー見てたら、梅沢さんかなんか福島出身らしいですよね。
箭内: 飯坂温泉のほうじゃない。
松田: そう福島市近辺らしい。なんかそれ盆地対決みたいなのやってて、福島盆地とかなんか京都盆地とか、すげえ訛ってましたけど。
菅波: あの人そうなんだ。
松田: すげえ訛ってたよ。じっちとばっぱがよーって。
菅波: 「じっちとばっぱ」いいな。「じっちとばっぱ」いいな。
箭内: 言ったね。「じっちとばっぱ」なつかしい。
菅波: 「じっちとばっぱ」言った。
松田: 結構しかも毒づいたこと言ってたんだよね。「じっちとばっぱ」のうち10万人くらいはなんか猪苗代湖が海だと思ってそのまま死んでった。
一同: (大笑)
菅波: あぶねえ。
松田: 結構言ってたよ。
菅波: 攻めんなー。
松田: そうあれが海だと思って。でもちっちゃい頃はたいてい騙されて。要は浜通り行くの遠いばい。山越えて行かなきゃならないから。
菅波: 確かに。行ぐ、みんなあそこに行く。
松田: 猪苗代湖行って、でかいから、みんなあれ海だぞーって言われてあ、そうなんだって思って入ってく。(笑)
箭内: だからさ、福島から出ないで一生を終えていく人はきっといっぱいいたよね。
松田: ああいますね。それこそ俺らがいる頃とかなんて福島空港なんてなかったすもんね。
箭内: なかった。
松田: だから他県に行くのも新幹線しかなかった。
菅波: (アルバム「人間プログラム」のジャケットを見て)松、なんか今なんかたまたまだけど。これもそれっぽかったよね。
松田: ああホントだ。この辺には、カラーのコンテで書いたんですけど。この中には同じ景色は出てこないけど、福島感はだいぶ入ってます。正直そのイメージはある。
箭内: 入ってる、入ってるよ。
菅波: 良かったかもしれない。
松田: この電車が二両とかね。
菅波: 二両? ほんとに?
松田: 最悪一両っつうときもあるから。
菅波: 一両はリアルだよね。
松田: バスかよ? バス。
〈曲がかかり始めて・・・〉
菅波: 水郡線とか一両。
松田: 水郡線、水郡線。あれ東北本線とかだともうちょい長いんだよな。
菅波: 長い。なんか曲調とか福島っぽく聴こえてきたな。
松田: 久しぶりに聴いたな。ホントに久しぶり。むちゃくちゃ久しぶり。
菅波: 音源結構熱いよ。音源結構サウンド…。
松田: 変な曲です。あんまりぐっと来る感じで。
菅波: いいかもしんない。
箭内: いいねえ。うん、いいねえ。じゃこれ勿論やるの? 当日開成山で。
菅波: いやこれ音高すぎて出来ないです。
箭内: 出来ないか。
松田: でもやるっつったら、やりそうじゃない。
菅波: そうだ、どっちにしろ、夏草でも高かったもんな。夏草よりはこっちのほうが可能性あっかもな、どっちかっていったら。
松田: これ、ここのさ、リバーブだけって出来ないの? 音源聴くとこっちのほうが出てんだよね。
菅波: 確かにね。
松田: ぺっぺけぺーより?
菅波: でもリバーブの音外れてんだほんとは。全然これ違うんだけど俺がたぶん知らずにやってんのを林さんが許したんだと思う…。まいいかって。
松田: 合う感じに変えれるっつう可能性もある? 合う感じに…。
菅波: いやあのリバーブやるんだったら、エフェクター買わなきゃいけねえかもしんねえ…。手元であんなキレイにはできないから。
松田: 弾けばあの音になるっつうのもありそう?
菅波: うん、あるある、なんか売ってるかもしんない。
菅波: おそろしい曲だなこれ…。
箭内: いいね。福島県にぴったりじゃない?。
一同: (笑)
箭内: 東白川郡にぴったりかわかんないけど。
No.002 松田晋二・菅波栄純(THE BACK HORN) 『福島ロックンロール会議』
松田晋二・菅波栄純(THE BACK HORN)
松田晋二 Shinji Matsuda THE BACK HORN リーダー/ドラム
1978年生まれ。東白川郡塙町出身。白河高校卒。
菅波栄純 Eijun Suganami THE BACK HORN ギター
1979年生まれ。須賀川市出身。日大東北高校卒。---------------------------------------------------
箭内道彦 Michihiko Yanai クリエイティブディレクター
1964年生まれ。郡山市出身。安積高校卒。
No.001 河尻亨一 “NO 広告批評, NO 風とロック.”
No.002 松田晋二・菅波栄純(THE BACK HORN) 『福島ロックンロール会議』
No.003 松田晋二(THE BACK HORN)・山口隆(サンボマスター)・渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET)・箭内道彦(風とロック) 「猪苗代湖ズ」
No.004 増子直純(怒髪天)・松田晋二(THE BACK HORN)・箭内道彦(風とロック) 「風とロック芋煮会参加の手引き」
No.005 「月刊 風とロック」3月号 怒髪天
No.006 「月刊 風とロック」3月号 サンボマスター
No.007 西田敏行・是枝裕和・渡辺俊美・箭内道彦