MC業における箭内道彦についての一考察
NHK『トップランナー』の5代目MCとしての第一歩を、
今週力強く踏み出した、風とロック箭内道彦。
みなさんは、ごらんになりましたか。
箭内さんの司会っぷり、マスターオブセレモニーっぷりを。
たぶん、ですけど。
放送作家と名乗る人の中で、たぶん、ですけど、
僕が1番箭内さんのこと知ってます。いや全部は知らないですよ当然。
そんな僕が作家という職業的観点から、MCとしての箭内さんを、改めて考察してみようかなと。
4年ほど前。え、もうそんな前か。
確か、風とバラッドができる前。初めて会ったときの箭内さんは、
別に聞き上手ではありませんでした。
それは、ラジオパーソナリティとして未熟だとか、そういうことでは全然なくて。
単純に人に興味がなさそうに見えました。
正確に言えば、自分の波長に相手が合うか合わないかの察知能力が、
異常に高かったと思います。それは今もそうかもしれないですが。
で、興味がない人にはモロに興味がなかった。
次を聞かないんです。「へぇー…」つって終わり。
「え、それどういうこと?」って1個次を聞くじゃないですか普通。
普通って言ったらおかしいか。興味があれば聞くじゃないですか。
聞く人と聞かない人、聞くことと聞かないことがハッキリしてました。
あれから4年。今や、NHK『トップランナー』の5代目MCです。
この4年で、箭内さんの表舞台への登場回数は、アホみたいに増えました。
「トリビアの泉見ました!」
「情熱大陸見ました!」
引っ張りだこです。
広告業界的にはどうなのか全く知りませんが、
箭内道彦は、今や『聞き上手』で知られています。
クリエイティブ合気道の基本かもしれませんしね。人の思いを聞くっていうのは。
この4年で、舞台慣れ、喋り慣れした、というのも、きっとあると思います。
別に人前で話すのが好きなタイプではないですが、慣れもあると思います。
でも僕は個人的には、『人のイイとこ、モノのイイとこ』をズバババっと見つけて、
それを口にするのが、めっちゃくちゃ速くなったなーと思います。
いや、なったわけじゃなくて、元々ですよねきっと。
でも、その「そこ好き!!」っていう熱量の出し方、出す速度が、ハンパじゃなくなってます。
ためらいがなくなったのかしら。
むしろ、「自分と絶対合わなそうな人もどんどんゲストに呼びたい」って言うぐらいなんで。
とか言って、大好きな人しか呼んでない気もするけど。
箭内さんは、この文章見てどう思うのかなー…イヤがりそうだなー…
まあいっか。別に僕にどう言われたからって、箭内さんは箭内さんです。
でもご機嫌軽くうかがっとこうかしら。箭内さんが知らない話を1つ。
みなさん忘却の彼方に飛ばしてらっしゃると思いますけど、
去年の12月8日。この番組に、今をときめく新垣結衣お嬢様がゲストでいらっしゃいました。
まあ彼女も人見知りするので、初対面だし緊張もあったはずの収録でしたが。
先日僕は結衣ちゃんと仕事して、
「『1人で自分の今の素のキモチを、自分なりに最後までまとめて話す』
っていうっていう練習もしよっか」
みたいなコトになって、やり始めたんですが。
(新垣)「えー…難しいなー…どうしようー……箭内さーん…」
なぬっ?! なんつった今。箭内さんつったかアンタ今。
(新垣)「だって箭内さんのとこゲスト行った時、超しゃべりやすかったから」
…ヒューヒュー!!!箭内ヒュー!!!
さすがトップランナーヒュー!!!
箭内さんは、素晴らしいMCだと思います。
僕は箭内さんに対して、放送作家的な貢献はほとんどしてません。
何をしゃべってくれとかこういう構成で行こうとか、ほとんど言ったことありません。
なので、偉そうなことはホントは何も言えないんですけど、
箭内さんが他の作家と仕事したら、きっと、超嫉妬します。
「絶対キレイになってやる」のオッサンバージョンぐらい嫉妬します。きっと。
嫉妬の対象になるっていうのは、素晴らしいことだと思います。
(山本佳宏)