身内
僕何でもかんでも1人でやんないと気が済まないみたいな器量の狭い人間だと思ってるし、
周りもきっとそう思っていることだろうと思ってるし、一匹狼みたいな感じだったらカッコイイんですけども、
別にそんなわけでもないし。
ただ一方では、身内とそれ以外、みたいな感覚ってわりと強く持ってたりします。
身内とかいうとさらに器量が狭まってってどうしようもないですけども。
ラジオ局だって会社なわけですから、普通の会社と同じようなお仕事だって当然たくさんあります。
「ラジオ局で働きたいです!」とかいう子供たちの大半は、
ラジオ局に入れば意味もなく偉そうに権力を誇示できるという事情を見抜いてるわけではなくて、
ラジオ局に入れば番組が作れると思ってるわけですけども、
もちろん、局員のほとんどは番組制作をしません。本当に一部の人たちだけ。
しかもそれは、自分の意志で選べるわけではない。嫌々制作してる社員はたくさんいます。
番組作りたい作りたいと言いながら、10年も20年も経理をやってる人だって、きっといます。
とはいえ、ラジオ局という会社が本来何をする会社なのかというと、
番組を作って放送する会社です。最近じゃ儲からないんで、
色々なイベント事業に手を出して大ヤケドしたりもしてますけども。
ですので、
・番組を制作する(制作)
・番組を売る(営業)
この2つをベースにして回転するわけですね。
会社なわけですから、利潤をつくらないと会社である意味がありません。
一方で放送は文化事業の面もありますけど、
だったら誰が制作費出してくれんの?聴いてる人全部出してくれる?出してくれないでしょ?
だから僕らはスポンサー探して番組買ってもらってCM送出するんだよ?
…っていうクエスチョンからは逃れることはできません。
制作は、自由にクリエイティブに番組を作りたいと思う(嗚呼、1人でもこう思っててくれたらなー)
営業は、とにかく売れる番組を作ってくれと要求する。スポンサーの言うとおりにしてくれと思う。
基本ぶつかるわけです。どっちが偉いってわけじゃなく、それぞれの主張が理解できる。
僕は、番組も広告も、バランスの違いだけで、考えてることも目標も、基本的には同じだと思ってます。
番組も広告も、誰かからお金をもらってその金で作ってることには変わりがない。
一方では、日本に住む全ての人たちがお客さんであるし、
他方では、お財布を持ってる特定の人の意向を無視するわけにはいかない。
無視したいなら、それは視聴者のみなさんに無料で何かを提供する、という枠を出ていくしかない。
だから、もはや僕らは、制作だ営業だ、みたいなことを言ってられないわけです。
僕らが企画書を持ってスポンサーに売り込みに行くのだって当たり前だし、
営業も、コレは売れる上に面白い、という番組企画を常に考えて当たり前。
その境界線をお題目のように唱えて守ってる間は、ラジオ局に未来はない。
「制作のヤツは幼稚だから困るんだよねー。社会常識全然知らないから疲れるわー」
「営業はバカばっかりで番組壊すためにしか存在してないよねー。ロクな売り方してこない」
お互いを貶めることで、自らのプライドを保ってる。
それは確かに誇りであるし、プロ意識もあるでしょう。
しかし、それは、制作マンだから偉いのではなく、営業マンだから偉いのではない。
あなたは、あなたであるから偉いのであって、それ以外においてプライドを持つ必要もないし、
そこにプライドは、そもそも存在しないはずだと思う。
大手の広告代理店に入れたからといって偉そうにするヤツは、本当にダメだし、
一方で、インディーズのクリエイターであることにすがってイキがってるヤツも、本当にダメ。
居場所ではないんです。居場所を言い訳にするのは、もうよしましょう。
どこにいたって、あなたは、あなたであるということが、必要十分条件なんであって、
あなたがあなたであった結果が、今日という現実なわけです。
「今の自分はホントの自分じゃない」なんてことはない。
"ウソの自分"も、"ホントの自分"も、「今の自分はホントの自分じゃない」なんてこと思っちゃう自分も、
すべてひっくるめて、自分です。それがありのままの自分。
えーっと、なぜこんなことをムキになって書き始めたのか、すでに忘れてしまいそうになっておりますけども、
思い出して書いておきますとですね……………やっぱ忘れましたー。すいませーん。
何であんな冒頭になってんのかな。何で身内ってタイトルなんだろう。
何かにすごい怒ってたってことは思い出せるんですけども。
まあいいや。このまま忘れちまいたいと思います。
(山本佳宏)