生後20日を過ぎた頃から、
子犬たちは 日々、おどろくほどのスピードで、
心が育っていきます。
身体的にも日々発育し、
動きはじめたパピーたちの 行動半径や、興味の範囲が、
ぐんぐん広がっていく。
自分、というものから、他者への興味。
外の世界の、音や、匂い、目に見えるものへの興味。
まるでスポンジが水を吸うように、心が育っていきます。
日増しに、動きが活発になって、じっとなんてしていられない!
寝てばかりの頃のお世話より、
この時期からの子犬育てのほうがよっぽど大変。
この時期を仔犬がどう過ごすかが、
その後の心の発育にとって、
ほんとうに大事な時期なのだと思います。
その後、大人になって10数年という犬生を送るにあたって
いちばん大切なことは、
心身ともに健やかなことと同じくらいに
「社会化」ということだと思います。
犬の社会化を考えた時に、その時期的な段階と経過について。
☆生後0〜2週齢の頃
誕生直後の犬は目も開いていないので、
ひたすらミルクを飲んで、兄妹でくっついて眠りつづける日々。
不思議なくらい、兄妹、くっついて眠るのです。
この時期から仔犬とお母さん犬を人間の生活の中に置くことで、
人間のいる空気、気配、声、生活の音、臭い、いろいろなことを
知らず知らずのうちにあたりまえのこととして経験します。
これはもう、感覚的なものだと思うけれど。
臭覚や聴覚が発達した時にも怖がらずに人や、
さまざまな環境を受け入れる心のキャパシティや、
感受性がはぐくまれるんじゃないかな、と思います。
☆生後2〜3週齢の頃
この時期になると目がうっすら開き、 もぞもぞと、動きはじめます。
臭覚以外に視覚、聴覚も発達し、脳や心の発達が日々、
ほんとうに驚くほど成長します。
昨日まで寝てばかりだった子が、
今日は兄妹の耳をかじってみたり。
じゃれあってみたり。 お母さん犬にも、自分をアピールしたり。
対人間にも、テレビの音や掃除機の音、車の音のある
あたりまえの環境に自然に慣れることで
音や環境への心の許容が広がると思います。
社会化、は、心のキャパシティを広げてあげることだなと
思っています。
なににでも動じない子に育てば、大人になってもきっと
おおらかな子でいられる。
☆生後30日以降 生後30日も過ぎると、
目が覚めたとたん、パピーたちはサークルから出たくて、
もう大騒ぎ!
サークルのドアに突進して、ガツンと頭をぶつける始末。
寝る→起きる→排泄→おっぱい→遊ぶ→また寝る・・・という
すごく単純なサイクルのなかで、すくすくと育ちます。
トイレトレーニングも、この頃からだんだんと、はじめます。
また、兄妹と遊んだり、お母さん犬と遊ぶことを通じて、
強く噛んだら相手からキャン!という声で反撃されたり
お母さんからひっくり返されたり、首のところを軽く噛まれたりして
「自分の行動が相手にもたらすこと」を、自然と学んでいきます。
これこそが、社会化だと思います。
強く噛んだら、相手は痛いんだよ。
しつこくしたら、怒られるよ。
うるさくしたら、叱られるよ。
肌感覚で覚えていく時期。
おもちゃや、ぬいぐるみにも興味津々。
人間の手にも、興味津々。
お水は冷たいし、母乳以外のご飯にも興味が出てくる。
毎日、心に刺激がたくさん。
いくつもの刺激に順応しながら、触れあいながら、心を育てる。
こんなふうにして、子犬たちは体が日々大きくなることと同じに
心のキャパシティを、育ててるのだと思います。