『ラジオディレクター』という仕事について
そういえば、ロックンロール食堂がスタッフ募集してましたね。
もう締め切ってますけど。
今度はどんな人が入ってくるのかしら。楽しみです。
今日は夢の職業シリーズ第9弾(笑)
『ラジオディレクター』という仕事について。です。
とか言ってね。もはやラジオディレクターが憧れの職業だった時代は、
"北京原人 Who are you?"と共にはるか彼方へ去ってしまいました。
もはや、誰もラジオディレクターになんか憧れてない。それどころか視野にすら入ってない。
そう言いきってしまっていいぐらいの今日現在。
僕はラジオの仕事も結構やってるほうの作家ですが、
放送作家という職業の特徴の1つとして、『メディアに縛られない』というものがあります。
もちろん、テレビメディアがつぶれてしまったり、もしくは出入り禁止になってしまったりしたら、
かなりの大打撃であることは正味の話としてはあるんですけど、
それでも作家は、本来的な意味でメディアと心中はしません。
この脳みそを買ってくれる場所、本当の意味での「アイデア」を求めている人さえいれば、
そこが仕事場になります。
テレビ、ラジオ、紙媒体、ネット、イベント、ゲーム、音楽、そして広告までも。
商売道具が「脳みそ」あるいは「アイデア」そのものですから、垣根を越えて足を運ぶことは、
わりと簡単です。仕事があるかどうかは別ですよ。嫌われたり無視されたり、
あるいは才能不足スキル不足から干されたりする可能性は、もちろんたくさんあります。
それは、自由と言う名の翼を手に入れた代償として背負うべき、自己責任。
僕は「そろそろマジでダメです~」とラジオが悲鳴を上げ始めたころに仕事を始めましたんで、
リアルタイムでは体験してないんですけど、かつて、ラジオが元気だったころ。
言いかえれば、ラジオにメディアパワーが、まだあったころ。
ラジオには、クリエイター、あるいはクリエイターたらんとする人たちが集まって来ていました。求心力があった。
今は集まってきません。メディアパワーがないから。もっと下世話に言うと、お金を持ってないからです。
何かすげーことをやらかしてやりたい。そう思ってワキワキしている若い人が、どこを目指すか。
環境いいとこでしょ。華のあるとこでしょ。目につくとこでしょ。人気あるとこでしょ。金稼げそうなとこでしょ。
かつてのJリーグブームが、大量のサッカー少年を生み出したのと同じ原理です。
悪意は一切ないことを前置きして言うと、息子にトランポリンのエリート教育を施す親は、
ほとんどいません、ってことです。
そんなことで。クリエイティブな才能を持つ人たちは、テレビや雑誌や広告に、どんどん流れて行きました。
ここ10年は顕著にそうです。
そして、かつての栄光を味わったおじさんたちは、表層的には理解していても、
心の底から震えるほどの危機感を持てないまま、結局、旧態依然の毎日を過ごしています。
ラジオはいつの間にか、一部のマニアと、年配の方々だけが聴き、
脳みそが固まったオジサンたちと時間を埋めるためだけの手抜き工事を繰り返す現場スタッフが作る、
狭いメディアになってしまいました。
有り体に言えば、そんな状況です。この説明で、過不足はないはずです。
ラジオ業界にたずさわる方で、「ひよっこが何をぬかす。それは違うだろ」とお思いの方は、ぜひメールください。
僕としても、こんな状況はやりきれないし、そもそも、熱く語り合う環境すら探せどないわけですから、
大歓迎です。
僕はラジオが好きです。ラジオスキルがあるとかないとか、そういうこと以前に、ラジオが好きです。
元々好きなわけではなかった。でも、濡れた捨て犬のような僕を拾ってくれたのは、
まぎれもなくラジオですし、恩義があります。この恩を返す前に、ラジオに死なれては、困るんです。
だから僕は、外からではなく、中からぶち壊してやろうと思って、いまだにしがみついてる。
さっさと恩を返してバイバイしたいのに。
ラジオをもっと魅力的な場所に。ラジオに金が増えることは、きっともうない。
でも、魅力的な場所でさえあれば、魅力的な人は集まってくる。
さあ、何と。ここまでが前置きなんでごぜーますぜ。長いわー。長すぎるわー。
ってことで、2部構成にしましょうかね。
次回はちゃんと、『ラジオディレクター』というお仕事に迫りたいと思いますんでひとつ。
(山本佳宏)