「マー君(ボク)が仕事しよると、オカンは気分がようなるんよ。」オカンはボクが仕事をする姿を見るのが好きでした。ボクの書いた本は大事に読み、病室でボクが画を描くのをいつも眺めていました。しかし、偉大なるは母の愛。そんなボクのソフトなお仕事模様だけでなく、なんと、ボクが生き生きと繰り広げているキワキワエロトーク満載のラジオも、実はいつもちゃんと聞いていたのです。このラジオでのエロトークの収録のときは、相当に面白い光景でした。もはやエロなのかどうか、分からないくらい面白い話が飛び出しています。病室の重たいシーンの中で、光り輝いています。(ホントか?)キャストの方々、現場のスタッフがああでもない、こうでもないと、様々な知恵を絞って作られた、とっておきのエロエピソード。オススメです。
ついにこの日が来てしまいました。「東京タワー」の物語の中で、決して避けて通れない別れの時。
様々なオカンの姿が思い出されます。筑豊で、近所の人たちと勝負する花札で、一人勝ちまくるオカン。ボクの仲間と酒盛りをして、はしゃぐオカン。糠床をかき混ぜるオカン。鼻眼鏡をして踊るオカン。樹木さんが以前に言っていた言葉を思い出しました。「母親というものは、例えば芋の様なもの。自分の子供である小芋のために全ての養分を出し切って、最後にはしわくちゃになるのです。」家に帰ってニュースを見ると、そこには子を殺めた母親の話や、母親を殺めた子の話などがいつもいつも流れています。そんな時、子供の為に自分の人生を生きたオカンの、養分を出し切って最後にしわくちゃになる親芋のような生き方を、もっともっと深く知りたくなるのです。
早いものでして、もう撮影も残すところあと幾日か、という段階になって参りました。そういえば、撮影開始した時は身体中の水分が蒸発せんばかりの暑き日々でしたが、最近では何だかひゅるると寒くなったりして、いつの間にやら季節は巡ってしまっているようです。
ところで、この物語におけるオトンという人は、本当に掴み所のない、同時にあまりにもダメで、しかし実に人間としての魅力に溢れた人として描かれています。オトンが何を考え、何を想って生きているか、オトンの目は何を見て、オトンの心は何に震えたのか、本当に謎が多い分、魅かれるものを多くもった人なのだと思います。
そのオトンが、最近めっきり老け込みました。(役柄の話です。)今までは荒々しく猛々しく、無軌道!自己中!自由人!な香りを漂わせていたオトンの背中も、次第に丸まってきて、ああ、て感じです。老けメイクを施した小林さんから滲み出る、オトンの悲哀が、半端でなく切ないのです。
映画が進むにつれて、ボクが大人の男になり、オトンが老けてゆく。何だかそこに人生を濃縮した画を見たようで、家路につく帰り道の秋風が凄く沁みるのです。
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