2006年10月 ARCHIVES

2006/10/ 1 [Sun]

爽やかなる目覚めと共に

今日は久しぶりにロケでの撮影です。場所はオカンが入院している設定の病院。撮影所だったら、大抵は、8時とか8時半くらいにセッティングを開始します。しかし、ロケの場合はロケ地まで移動をしなくてはならないので、6時とか7時とかにはロケバスの出発場所に集合。朝は早いのです。
集合場所はスタッフの集まりやすい新宿か渋谷が主ですが、朝の、相当に鈍い頭の状態では、新宿集合なのに、余裕で渋谷などに行ってしまい、あれっ誰もいない、なんてな悲劇が起こったりします。そういう時には物凄い冷や汗をかいて、お陰様で目がスッキリ覚めるのです。

2006/10/ 2 [Mon]

エロトーク、炸裂す



「マー君(ボク)が仕事しよると、オカンは気分がようなるんよ。」
オカンはボクが仕事をする姿を見るのが好きでした。ボクの書いた本は大事に読み、病室でボクが画を描くのをいつも眺めていました。
しかし、偉大なるは母の愛。そんなボクのソフトなお仕事模様だけでなく、なんと、ボクが生き生きと繰り広げているキワキワエロトーク満載のラジオも、実はいつもちゃんと聞いていたのです。
このラジオでのエロトークの収録のときは、相当に面白い光景でした。もはやエロなのかどうか、分からないくらい面白い話が飛び出しています。病室の重たいシーンの中で、光り輝いています。(ホントか?)
キャストの方々、現場のスタッフがああでもない、こうでもないと、様々な知恵を絞って作られた、とっておきのエロエピソード。オススメです。


2006/10/ 3 [Tue]

オカンへ捧ぐ



ついにこの日が来てしまいました。「東京タワー」の物語の中で、決して避けて通れない別れの時。
様々なオカンの姿が思い出されます。筑豊で、近所の人たちと勝負する花札で、一人勝ちまくるオカン。ボクの仲間と酒盛りをして、はしゃぐオカン。糠床をかき混ぜるオカン。鼻眼鏡をして踊るオカン。
樹木さんが以前に言っていた言葉を思い出しました。「母親というものは、例えば芋の様なもの。自分の子供である小芋のために全ての養分を出し切って、最後にはしわくちゃになるのです。」
家に帰ってニュースを見ると、そこには子を殺めた母親の話や、母親を殺めた子の話などがいつもいつも流れています。そんな時、子供の為に自分の人生を生きたオカンの、養分を出し切って最後にしわくちゃになる親芋のような生き方を、もっともっと深く知りたくなるのです。


2006/10/ 4 [Wed]

全員集合



どこかで聞いた話なのですが、アイルランドのお葬式は、故人を偲んで涙するのではなく、逆に盛大に飲み、歌い、踊るのだそうです。それが亡き人への、最後の別れの挨拶なのだそうです。
悲しい出来事も、決して湿っぽくしない、オカンの生き方そのものの様な、明るくて楽しくて朗らかで。今日はとても素敵なお葬式のシーンになりました。


2006/10/ 4 [Wed]

ボクと電話をするオカン


俳優さんの撮影風景その2です。
写真は、オカンがお手伝いをしている妹さんのお店から、ボクに電話をしているシーンです。


2006/10/ 4 [Wed]

笹塚の家の中でのオカンとボクとミズエと監督


俳優さんの撮影風景その3です。
笹塚の家のシーンで撮った写真。
左から順に、ミズエ(松 たか子さん)、ボク(オダギリ ジョーさん)、オカン(樹木希林さん)、松岡錠司監督です。


2006/10/ 4 [Wed]

筑豊のおばあちゃんの所に戻るオカン(若オカン)とボク(幼少)


貴重な撮影風景での俳優さんの写真をアップしていきたいと思います。今回はその1。
こちらは、筑豊のおばあちゃんの所に戻るオカン(若オカン)とボク(幼少) のシーンです。


2006/10/ 4 [Wed]

若オカン リアカーを押して筑豊の街を歩くシーン


俳優さんの撮影風景その4です。
若オカンのオカン(筑豊のばあちゃん)のリアカーを押して筑豊の街を歩くシーンです。
監督と若オカン役の内田也哉子さんが談笑していらっしゃるところです。


2006/10/ 5 [Thu]

新旧オカンの遭遇





今日で樹木さんの撮影は、アップを迎えました!この映画の核となるオカンを、力強く、そして柔らかく演じていらっしゃった樹木さんは、演技をしている時だけではなくて、普段のときも現場を和ませ、緊張感を与えて下さり、活気付けてくださっていました。ああ、オカンだなあ、日本のオカンだなあと思いました。
ちなみに、今日は樹木さんの実娘であり、若オカンを演じる内田也哉子さんも撮影があり、撮影所では、新旧オカンが並んでいるという不思議で何だか温かい光景が見られたのでした。


2006/10/ 6 [Fri]

唯一父親らしかった記憶



俳優さんの撮影風景その5です。
若いころのオトンが、唯一父親らしかった記憶、子供のボクに船をつくってくれるシーンです。
場所は小倉のおばあちゃんの家の縁側です。日がさんさんと降り注ぐ中での撮影でした。


2006/10/ 6 [Fri]

オトンとオカンが若かった時の写真



俳優さんの撮影風景その6です。
オトンとオカンが若かった時の写真。オトンの部屋に飾ってあったものです。衣裳も、ポーズも、時代が感じられてレトロながらにステキなお二人。


2006/10/ 7 [Sat]

オヤジの背中



早いものでして、もう撮影も残すところあと幾日か、という段階になって参りました。そういえば、撮影開始した時は身体中の水分が蒸発せんばかりの暑き日々でしたが、最近では何だかひゅるると寒くなったりして、いつの間にやら季節は巡ってしまっているようです。

ところで、この物語におけるオトンという人は、本当に掴み所のない、同時にあまりにもダメで、しかし実に人間としての魅力に溢れた人として描かれています。オトンが何を考え、何を想って生きているか、オトンの目は何を見て、オトンの心は何に震えたのか、本当に謎が多い分、魅かれるものを多くもった人なのだと思います。

そのオトンが、最近めっきり老け込みました。(役柄の話です。)今までは荒々しく猛々しく、無軌道!自己中!自由人!な香りを漂わせていたオトンの背中も、次第に丸まってきて、ああ、て感じです。老けメイクを施した小林さんから滲み出る、オトンの悲哀が、半端でなく切ないのです。

映画が進むにつれて、ボクが大人の男になり、オトンが老けてゆく。何だかそこに人生を濃縮した画を見たようで、家路につく帰り道の秋風が凄く沁みるのです。


2006/10/14 [Sat]

弾けてボーイズ

撮影も残るところ、2日となりました。今日は、埼玉県のロケ地での撮影です。
筑豊で弾けまくっていた幼いボクが繰り広げるやんちゃエピソードのシーンです。いかんせんやんちゃなものですから、殺生なこともやったりするわけです。今日は「小道具」として生き物がいっぱい出てきます。ザリガニ、カエル、ウサギ。中でもガマガエルのグロテスクな肢体には、みんなの視線が釘付けでした。でも、ガマガエルは泰然としたもので、なかなか素敵な演技をしてくれております。(映画館でチェックしてください)

2006/10/16 [Mon]

終わりと始まりの日

昔からよく言われるように、明けない夜はないそうですが、同じく、終わらない撮影もないのだそうです。 長かった様で短かった様で長かった2ヶ月半にわたる撮影が、ついに今日で終了します。
フィナーレを飾るのは、都内から車で2時間くらいの所にある、単線列車のホームと車内の撮影。
しかし、本当に空気が澄んでいて、カラっとした気持ちのいい、クランクアップ日和。何か晴れやかながらに寂しさと、2ヶ月半の想いが様々に去来するのです。
撮影としては、若オカンの内田さんと青年ボクの冨浦くんのシーン。そこへ、すでにアップしていたオダギリさんがクランクアップに駆けつけて下さるというサプライズがありました。(山を越えて、車を走らせてきてくださったのです!どうもありがとうござます!!!)
撮影が終わるなあと感慨ひとしおな一方で、本当は気持ちを新たに引き締めていかなければなりません。宣伝屋の仕事はここからが本番。4月14日の映画の公開に向けての宣伝活動の諸々、実は今日が始まりの日でもあります。
青春そのものみたいにキレイででっかい夕日を見ながら、こんなステキな映画に携われた幸せと責任の重さをひしひしと感じています。
こんなぐだぐだな撮影日誌を最後までお付き合い頂きました皆様、どうもありがとうございました。これは恥ずかしいまでに稚拙な私の『東京タワー日記』でしたが、4月14日の公開からは、皆さんそれぞれの『東京タワー』が作られてくることと思います。楽しみに待っていて下さい。素晴らしい作品が、皆さんに見て頂く日を待っています。

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