miuroの将来像に迫る。 07.05.31
ZMPと東京大学の池上博士がタッグを組みました。
これまでも愛嬌のあるダンスで、多くの人々を魅了してきたmiuro。近い将来、その魅力がさらにアップしそうなのです。実はこのたび、miuroを開発した株式会社ゼットエムピーと東京大学の池上高志博士が、miuroを使って人工生命体プログラムの共同開発へ向けてコラボレーションをスタート。その内容が、アップルストア銀座で行われたイベント「サイエンス/アート/ロボティクス:自律性について考える」で発表されました。
まずはゼットエムピーの谷口恒社長が、miuroの特徴や可能性、ユーザーの意見などを発表。その中でmiuroの楽しみ方をさらに拡げるオプションソフトについても紹介されました。ソフトは3種類。それらをパソコンにインストールすることによって、自宅のパソコンでmiuroのカメラを通した動画映像を見ながらmiuroを操作したり、あらかじめ登録したリスニングポイントへmiuroが自分で考えて移動したり、さらには携帯電話で外出先から自宅のmiuroを操作して、miuroのカメラで撮影した写真を確認することなどが可能となりました。
続いて、東京大学の池上博士が登場。miuroに自律性をもたらす研究内容についてのプレゼンテーションが行われました。自律性とは外から指示を与えなくても自発的に動くことで、これは生命の本質的な部分だと言われています。池上博士はこれを人工的につくること、つまりは人工生命体プログラムの開発を目指して研究に取り組んでいます。
もちろん、今でもmiuroは音楽に合わせて動くものの、このプログラムをmiuroに搭載することができれば、miuroはより自然な振舞いができるようになるとのこと。そうなれば、気まぐれに自分の意志で動くペットのような存在として、さらに多くの人々に愛されるようになるでしょう。会場では、現在開発中の自律運動のデモンストレーションも行われ、音楽家の渋谷慶一郎氏(ATAK)によるサウンドに合わせて、より自由に愛らしく動くmiuroの様子が垣間見られました。
最後にゼットエムピーのmiuroのプロジェクトマネジャー西村明浩氏が、今後の展開についてスピーチ。「アクティブライフエレクトロニクス」をキーワードに、最終的に人工生命体miuroは、ペットのように生活に楽しさや潤いを与える存在になることを目指していると説明。来場した人々に将来への期待感を抱かせました。
また、今回のイベントには数多くの報道陣が来場。注目度の高さがうかがえました。人工生命体プログラムを適用したmiuroが身近になる。そんな日は、それほど先のことではないのかもしれません。
  池上高志博士

東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻広域システム科学系 准教授、理学博士。コンピュータシミュレーションをもとにした構成論的な生命システムの理解を目指している。おもな研究テーマは、知覚、意識、言語の複雑系的理解。著書に『複雑系の進化シナリオ』(朝倉出版)がある。
※金子邦彦氏との共著
sacral.c.u-tokyo.ac.jp


Photo:Yoshiyuki Obuchi / Text:Hiroya Ishikawa

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