世の中には、どんなに厳しい状況下でも生き残れる種類の人たちがいます。現場のスタッフというのはまさしくそういう人種(?)に属すると、本当に常々思うのです。
映画の撮影の出発は、全く何もないところから始まります。ゼロから、脚本が出来てきて、セットが組まれ、小道具が用意され、照明が焚かれ、そして役者さんが衣裳を着て、メイクが施されて、演じる。そしてそれを撮影して、音を録って、編集して映画になる。
そんな中で仕事をするスタッフは、何かと不測の事態に強いのです。とんでもない角度から照明機材を吊るしたり、カメラをセッティングしたり、そこら辺にある材料で何でも作れてしまうのです。無から有を生む、腕を持っています。
泰平の世だけでなく、戦乱の世でもしっかりと生きていける、たくましい人たちです。私は、というと、文系だし、手先は不器用だし、宣伝屋という職業はつくづく限られた所でしか生きていけないなあと思ったりもします。