第56回 トップランナーO.A. 藤本壮介
風グループ高橋です。
今回のゲストは、建築家 藤本壮介さん。
番組冒頭から、藤本さんの建築模型に囲まれ、その世界観を探ります。
ものづくりが大好きな子供時代、ガウディの写真集を見た時から
建築家への道を進み始めた藤本さん。
大学卒業後、就職はせず、独立。6年間、設計コンペに応募を続けます。
ご本人曰く“モラトリアムな日々”だったそう。
そして2000年、青森県立美術館の設計コンペで、2位に入選。
「藤本壮介」の名が、業界に広まることに。
『藤本さんの生み出す“新しい建築”の神髄は、実際にその場所に入る
ことで初めてわかる何かがあるはず』
この考えをもとに、箭内は番組に志願して
日本建築大賞をはじめ数々の受賞を果たした藤本さんの代表作、
「情緒障害児短期治療施設」に、遠く北海道伊達市を訪れます。
部屋・廊下・広場という大小の空間を複雑に配置し、
この施設使用する子供たちに作られた“居場所”。
「優しすぎず、突き放しもせず。その中で彼らが、
どうその空間と付き合っていくかというのが、行って初めてわかった。」
そんな箭内の取材後記。
藤本さんは、
「ちゃんと作る、ということが、全部しつらえるということではない。」
そっと真意を教えてくださいました。
そして今回の収録は、大型の模型セットにみんなで入り、
藤本さんの作る空間を体験します。
“ヤドカリ”をモチーフにした、ドアのない家。
立つ場所、座る向きによって、自由に変形するかのような不思議な感覚。
箭内の「LDKとか、窓とか、今までにあった用語が使えないですよね」
という発言に、嬉しそうに笑う藤本さんが印象的です。
子供のように無邪気に発想し続け、
“未来にはスタンダードになっているイメージ”で建築を続ける藤本さん、
とにかく「楽しんでいる」ことが秘訣だそうです。
その時々の状況を、人が好きに住んでくれることを。
「藤本さんは、閉所恐怖症なんじゃないかなと思ったんです。
閉所って、狭いところ・光の入らないところが嫌いっていうだけじゃなくて、
人生の中でも閉じ込められてる場所というのがたぶん苦手じゃないかなと。
僕もちょっとわかるところがあるんですけど、
就職、事務所、もっと言うと“完成”ということにも閉じ込められたくない、
未完成でいたいっていう。常に窓を探してるというか。
考え方や社会にも窓を開けていくのが藤本さんの仕事なんじゃないかと
思ったんです。」
箭内の感想にも、笑顔で応えてくださった藤本さん。
「昔っから、ものを作るときに完成させられなかった。それを急に思い出しました。
固まっちゃうのが嫌なんです。」
これからも私達に“未知なるもの”を見せてください!
NHKオンデマンドにて
期間限定配信中です。
takahashi