「裏クリエイティブサロン」を終えて
「クリエイティブディレクター箭内道彦の漂流」展、
最後のビッグイベント、「裏クリエイティブサロン」
が無事終了致しました。わずかな告知期間にも関わらず、
たくさんの方にお集りいただきありがとうございました。
この組み合わせを意外に思った方も多いのではないでしょうか。
ゲストはロンドンブーツ1号2号の田村淳さん。
実は、淳さん率いるビジュアル系バンド、
jealkb(ジュアルケービー)のPVを
箭内&ロックンロール食堂の稗田が制作したのです。
『誓い』というこの曲のPVには、通常オンエアされて
いるものとは別のバージョンがあります。
リンゼイ・ホーカーさんという女性を覚えていらっしゃるでしょうか。
ちょうど1年前に千葉県市川市内で起きた事件の
被害者のイギリス人女性です。
容疑者は警察の追跡を振り切ったまま
未だ行方が知れません。
PVの中には、生前のリンゼイさんの映像や写真、
そしてロンドンのヒースロー空港で、日本行き便の乗客に向け、
容疑者の顔がプリントされたTシャツを来て、
必死に情報提供を呼びかけるリンゼイさんのご家族の映像があります。
ニュースの報道は大量の情報を流し続け、
毎日毎日塗り替えられて、どんなに悲惨な事件も、
記憶はどんどん風化していきます。
このPVは実はずっと前に、「事件から半年」の報を受けて作られました。
プロモーションビデオの新しい形や新しい役割を模索し続けていた中で、
映像と音楽の力で、この悲しい事件の記憶をとどめ、
事件の解決に少しでも貢献したいと議論を重ね、
多くの批判を受けるかもしれないことは覚悟の上で制作しました。
こんな事件が起きてしまったことへの憤りや、
家族の一員を突然失うことの悲しみ、娘を思う両親の愛情、
そして毎日のように目にし続けるほかの多くの悲惨な事件。
このPVを見ることで、リンゼイさんのことを思い出すと同時に、
自分にとって大切な人のことや、愛する家族のことも考えてもらえたらと思います。
明日、26日で事件から1年を迎えてしまいます。
リンゼイさんのご冥福を心から祈り、容疑者の逮捕と、
早くご家族が心安らかに暮らされるようになることを願います。
hisada