第10回 広告キャンプ
「誰にも憧れなかったから自分で作っていくしかない」
と中村聖子は言う。
クリエイティブにおける女性ってどう?
という箭内の問いに、
「やっぱり(女性は)少ない。」
でも、男も女もあんまり関係ないし、
そもそも、広告業界に入った時、お手本がなかった。
優秀な女性クリエイターがいてもあんな風になれないと思ったし、
こういう風(人)になりたいもなかった。
・・・・そう語る、本日のゲストは、コピーライターの中村聖子(風とバラッド)です。
今日は、ハードワークでサバイバルなこの広告業界の中で、
数少ない女性クリエイターとして、
ずっと活躍し続けるその秘密と魅力に迫ります。
2004年、九州で四天王の一人と言われた中村が、
箭内に誘われ風とバラッド設立に参加。
一番の理由は、「福岡ではやりたいことは全部やってしまった」からだそう。
そして東京で変わったこと。
代理店の時は、「自分の名前で仕事がくるようにするにはどうしたらいいか」を考えて仕事をしていた。
その手段として賞を獲るとかがあった。
でも、そこを抜けて一回出たら、意識が変わった。
賞を獲りたいと思って作ると(そういうことから考えて始めると)仕事が小さくなる。
変わらないのは、今も昔もクライアントや商品といつも向き合うという姿勢。
そして、風とバラッドが、今日、ここに至るまでの道のりは、
決して容易なものではなく、杉山や照井と一緒にまた中村もたくさんの苦労を箭内と共にしてきた。
「大変な仕事を逆転させるコツは?」と箭内が自分で聞きながら、
更にこう言った。
「一つは言葉(コピー)で黙らせる。絶対否定できないけど、ちょっと
こう新鮮っていうのが、
中村さんのスタイルだよね。」
そんな箭内に、中村は言った。
「いっぱい条件を入れられた方がいい。そこを超える解決策を考え易くなる。」
「言葉に関しては、上手いこと言うな的コピーより、この商品はこう。この世界はこれでくくる。
そういうのが出来ると太いものがつくれる。
細々したものばかり書いていると、いっぱい書かないと太く大きくなれない。
1コで背負えなくなる。たしかに、そういうものを書かされることが多いかな。」
そして、
「言葉で握れた方が後がらく。クライアントと制作が強烈に結べるということは、外に向かっても同じ。
コミュニケーションが早くなる。」
「言葉をいっぱい出して、単語をくっつける作業よりは、もうちょっと全体のイメージとか五感で考える。
どういう絵が浮かぶか。どういう匂いがした方がいいか。広いところから絞ってく。」
そこへ、箭内は言った。
「(打合せの時とか)みんなが瞬時に納得して決まる。その言葉がいいのか、悪いのか、好きかとか嫌いかとか、上手いとか下手とか、そういうのを飛び越した、ブレイクする感。それが中村さんの特徴。」
・・・と一気にシリアスに書いてしまいましたが、
話し言葉もいいんですよねー。聖子さん。
書けるだけじゃないんですよー。
日頃、すごくお忙しいのでなかなか会えないことも多いのですが、
なんか普通の話ししてる時でも表現がやっぱりすばらしいんです。
って、上手くぜんぜん言えてませんが。
今日の授業での話なんかも、懐も広い方なので、説得力もあるし、
何よりも人を惹きつける力がある。
それはこの仕事だからではなく、生まれもっての魅力なんだと思います。
そして、とにかく明るい!楽しい!
そういうキャラクターな方なので、何だかみんな「思わず納得してしまう」。
なかなかいないですよね。そんな人。
みんなが思いつきそうな女性クリエイターへの質問の中身は、
既に一通りサバイバルして、そんな枠を超えたからこそ、
今、中村聖子はますます輝いてるのだと私は思います。
カッコイイです!
hagiya