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【バックナンバー】「桜を見上げよう Sakura Project」ドキュメントブック。MATOI PUBLISHINGより。

1301106_sakura1.jpeg
2012年3月22日~25日、有楽町で開催された
桜を見上げよう」Sakura Project。

「桜を見上げよう」Sakura Projectとは、
プラントハンターの西畠清順さん ×箭内道彦による
47都道府県の桜の枝を東京に集め、
ひとつの「ニホンサクラ」として同時に開花させた、
東日本大震災の復興支援を目的としたプロジェクトです。
http://blog.magabon.jp/kazetorock/2012/03/_32225.html


先日、「世界一受けたい授業 」(日本テレビ系 毎週土曜日放送)で
清順さんがゲスト出演された際、
このプロジェクトの模様が放送されました。

番組を観て初めてこのプロジェクトを知った方や
見逃してしまった方のために。
もう一度振り返りたい方にもぜひ。


「桜を見上げよう Sakura Project」 MATOI PUBLISHING(2012年)
131106_salura2.jpg
企画の全貌を収録したドキュメントブック。

西畠清順さんの「桜ハンティングの旅」
会場の桜の下でおこなわれた「西畠清順 × 箭内道彦」スペシャルトークショー
全国の桜をご提供してくださった方々から寄せられたフォトメッセージ
サクラ図鑑
市橋織恵さんによる撮りおろしフォト
…など、多くの方々の思いがぎゅっと詰まった1冊です。

メイキング映像DVD付。
MATOI PUBLISHINGより、好評発売中です!



本の中でもご紹介しておりますが、
箭内の故郷、福島県郡山市の桜は、
清順さんレクチャーのもと、
開成山大神宮の宮司さんに見守っていただきながら
箭内も切らせていただきました。
131106_sakura3.jpg



これから季節は冬本番を迎えますが、
厳しい寒さを乗り越えて
またみんなで桜を見上げられる春が来ることを
待ち遠しく思います。



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「桜を見上げよう Sakura Project 」ステイトメント(箭内道彦)
131106_sakura4.jpg
誰がために桜は咲く

そのことを思ったのは、富岡町の美しい桜並木を、新聞で見た時でした。
福島第一原発から20km圏内の警戒区域。
満開のその桜。誰もいない町。目に見えない放射線の中。
そしてこれからいったい何十年このままで。
誰ひとりその下で宴の酒を酌むこともなく。


その写真は、上空から俯瞰された景色。
でも桜は、見下ろすものではない。
僕たちはその花を、いつも見上げ続けて来た。ただ恍惚と。

まだ上を向いて歩くことはできない。前を向くことすら覚束ない。
福島でそう言われたことを憶い出します。
震災直後の四月。

日本は四季の国。
夏も秋も冬も
春を待つ季節。
その間、できるだけ僕は、
街なかの桜の樹を、その樹が桜であると意識するように努めています。感謝を込めて。
だけどいつもいつも見逃し続けてしまう。
三つの季節は花を着けていない、灰色の静かなその樹木を。


いま、人々は少し苛立っているのかも知れません。
自らを正当化しなければ辛過ぎる選択を迫られた後に
自分の行動を肯定するためには、
異なるものを否定するしかなかった
正解のない中から回答を選ばねばならぬ、深い苦渋。

みんなほんとはやさしいのです。
きっと他人を心配するその愛情のせいで
それをなんとか相手に伝えようと、声が高くなる。
少しおかしくなってしまっている。
僕も。あなたも。



誰がために桜は咲く

桜はきっと、彼ら自身のために咲いている。
生きる誇りと、営みと。
その姿が誰の目にもたとえ触れないとしても。
凛として、毎年。

だけど僕たちのために咲いてくれるんだと
今年は思ってもいいですか?

桜を見上げよう。

今年の桜が
僕たちが全員、同じ船に乗っていることをきっと教えてくれる。
喧嘩や議論をしている場合じゃないってことを。
ひとつになれない僕たちを
その期に大きく包んで。

ところで世界中で、
四月に新年度を迎える国はとても稀なんだそうです。
ほとんどの国々が秋からスタートを切る中。
だけど僕たちは、
終わりを労い、始まりを祝う春。

日本に生まれてよかった。

2012年

"今日から何かが始まるよ。君のことだよ"

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(月刊 風とロック 2012年3月号掲載より)



ando

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