12月1日の年間大賞発表及び表彰式欠席の
箭内道彦が事前に事務局に提出した選評コメントです。

「今年を豊作という意見もあるが、2013年の「今でしょ！」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」と比べるとそうとは言えない。複雑な時代になったのか、声が聞こえてくる「言葉」が少ない。耳からでなく、目から入って来る、現象や商品の名が多かった。発信者だけでなく、さらに多くの人々が確実に口にするというのはなかなか難しい。
　新語・流行語大賞は、「現代用語の基礎知識」読者アンケートを参考に、6人の審査員の票の集計による。視点も基準も様々。たとえば自分はこの賞が誰も傷つけない、人々が幸せを感じるような言葉で埋まればと票を投じる。激しい字面より優しい肉声をと個人的には願う。今年も少ないがたとえば「アモーレ」のような言葉には救われる。誰にとっても多数決は当然思い通りの結果ばかりではない。選ばれた語への人それぞれの賛同や反意も含め、この賞をもとにただ今年一年を振り返る機会。迎える年がより穏やかな一年になりますように。」