箭内道彦と写真
「今や、林家ぺーさんか、箭内さんか、っていうくらい撮ってますから。」
2010年のNHK トップランナーのスペシャル番組で、
福山雅治さんに、カメラを向けたときに箭内が言われた言葉です。
そのときの会話。
福山さん「(箭内のカメラを手にして)これ、デジタルじゃないんですね。
(ファインダーをのぞいて)けっこう、絞ってますよね。暗いのに。」
箭内「あ、おれ、わかんないんです」
福山さん「ちょっと待ってくださいよ。(笑)」
箭内「こういうときはどのくらいが…」
福山さん「こういうときは開放でいいんじゃないですかね。2.8(ニッパチ)とか。」
絞りやシャッタースピードなど、
カメラの基礎知識に関して
福山さんに教えを乞う場面が
バッチリと放送されてしまいました。
その時に箭内が撮影した福山さん。
月刊 風とロック 2010年8月号より。
「僕はカメラマンではありません。
露出計なんか持ってないし、写真を勉強したことも技術もない。
でもカメラマンじゃないから、相手が構えない。油断してくれる。」
(書籍「僕たちはこれから何をつくっていくのだろう」より)
そんな箭内が写真を撮影して、
世の中に出した作品をいくつか紹介します。
☆月刊 風とロック
赤字を出しながら発行し続けるこのフリーペーパー。
もともとは撮影料を少しでも抑えるため、
という理由で箭内自ら撮影し始めました。
今や、発行人 兼 編集長 兼 アートディレクター 兼 インタビュアー 兼 カメラマン。
そんな 月刊 風とロック でよく行う、
箭内自ら”ズルい”という撮影方法が、
色んなバンドのメンバー全員に「写ルンです」を渡して、
お互いを撮りあってもらうこと。
ユニコーン、チャットモンチー、weezer、THE BACK HORN…など
これまでいくつものアーティストがこの方法で撮影され
誌面を飾りました。
「そこは僕にも入れない最大油断エリア。
どんなすごいカメラマンにも絶対撮れない表情が写る。」(箭内)
2009年2月号。撮影:ユニコーン 川西幸一さん
そういえば、
「写ルンです」を愛機のひとつとしている箭内は、
「写ルンですを日本一使っている人」として
↓こんなインタビューも受けました。
http://www.shashin-kotoba.com/02/
☆長澤こよみ(2010年2月20日 発売)
箭内が撮影および
クリエイティブディレクションを担当した
長澤まさみさんのカレンダー。
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1日は、本当は1年の365分の1ではない。
短い日。長い日。
忘れたい日。忘れられない日。忘れたくない日。
待ち遠しい日。
それぞれの1年の中で、それぞれの1日は、均等じゃない。
時間は生き物だ。
このカレンダーは、時間の概念を、体感時間に変えるカレンダー。
「カレンダー」に縛られない「わたし」
長澤まさみの「自由」「繊細」「大胆」
その魅力の混在。
1ヶ月で1ページの月もあれば、
1週間で1ページの週も。
1日だけで1ページの日もある。
当然だ。人は生きているのだから。
「気まぐれ」が詰まった
ある種ロックでパンクな人間らしい暦。感情のある。
これは1年間かけて長澤まさみと一緒に読んでゆく本。
一緒に感じてゆく毎日。一緒に暮らす時間。
長澤まさみと遊ぶ1年。
笑ったり泣いたり。
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☆風とロックの写真(2010年8月6日発売)
箭内の初めての写真集。
「愛だねぇ。もうひしひしと伝わってきますよ。」
表紙の帯には、篠山紀信さんからいただいた大切な言葉。
日経新聞朝刊の書評でも紹介されました。
↓
☆「ゆ、ゆ、ゆきりん」(2012年4月19日発売)
AKB48 柏木由紀さんの写真集。
撮影とアートディレクションを担当しております。
Amazonとセブンネットショッピング
発売前の予約受付の時点で、
全書籍でランキング1位も獲得。
発売にあわせて、
東京都内42カ所、全パターン違う未公開カットがビルボードに。
街を横断する”巨大写真集”となりました。
☆探偵大泉洋写真集「探偵は写真の中にいる。」(2013年4月26日)
撮影・アートディレクション:箭内道彦。
柏木由紀さんの写真集から1年ぶりの撮り下ろし。
ヒット映画「探偵はBARにいる」シリーズで大泉洋さん演じる「探偵」の写真集。
真冬のススキノでのロケも敢行しました。
ロケバスの車内にて。大泉さんとの会話。
「うまく撮れるか、すげえ、自信ないです。」(箭内)
「そんなこというカメラマン、聞いたことないですよ(笑)」(大泉さん)
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「笑い顔は笑って撮る。
カメラを構えてる時、僕はいつもニコニコしてる。
CMの絵コンテを描いている時もそう。
笑顔を描いている時は僕も笑顔。
泣いている顔をしないと泣き顔を描けない。
僕は好きな人しか絶対に撮らない。
その人が油断できる特等席に行くために、そのチケットを手に入れる努力が仕事の9割だと僕は思う。
子供の写真は親が一番かわいく撮れる。彼女の写真は彼氏が一番素敵に撮れる。
そんな当たり前の場所に、広告が忘れがちな大きな素敵がある。」
(書籍「僕たちはこれから何をつくっていくのだろう」より)
2013年10月27日 「BOWLINE」風とロックブース前にて
murahashi